企業の収益をあげるために今やるべきDXの進め方

企業のDX化を推進するために、デジタル化、業務改善、顧客満足度向上、案件管理などの言葉が飛び交いますが、いまいちピンとこないという方が多いのではないでしょうか。
特に導入にコストをかけても収益が目に見えて上がらない、もしくはDX化による効果が見えにくいというのもDX化が進まない理由の一つだと考えます。
それぞれの手法を導入するのではなく、それを収益化構造にする仕組みの一部といて加えていかないと結果が出ないというのが昨今のDX化の課題です。

それを解決する新たな考え方が Revenue Operation なのです。

Revenue Operation(RevOps)とは?

Revenue Operation(以下、RevOps)は、企業の収益を最大化するために、営業(Sales)、マーケティング(Marketing)、カスタマーサクセス(Customer Success)といった収益に関わる部門を統合・調整するための戦略的フレームワークです。

従来、これらの部門は独立して運営されることが多く、連携不足による「サイロ化(情報や業務の孤立)」が課題となっていました。RevOpsは、この問題を解決し、部門間の連携を強化することで、顧客体験の向上や業務効率の改善、収益の最大化を目指します。


RevOpsの基本的な特徴

  1. 収益関連部門の統合
    営業、マーケティング、カスタマーサクセスを中心に、データ、プロセス、ツールを統合し、一貫性のある顧客対応を実現します。各部門で独自のシステムを導入するということがなくなり、システムのスリム化も図れます。
  2. データドリブンなアプローチ
    各部門が同じ顧客データを基に活動を行うことで、データに基づく合理的な意思決定が可能になります。データの重複やそれに伴うメンテナンス作業の削減も可能になります。
  3. プロセスの標準化
    リード管理や商談の進行、顧客サポートのプロセスを標準化し、効率的な運用を図ります。縦割りになっていた組織を横断で管理することが可能になり、営業活動が一連化され業務改善が可能になります。
  4. 技術の活用
    CRM(顧客関係管理システム)、マーケティングオートメーション(MA)、カスタマーサクセスツールなど、最新の技術を駆使して業務を支援します。

RevOpsが求められる背景

現代のビジネス環境では、顧客との接点や収益を生むプロセスが複雑化しています。以下のような課題が、RevOpsの重要性を高めています。

  • 部門間のサイロ化
    営業、マーケティング、カスタマーサクセスが別々のシステムやプロセスを使用することで、情報共有が不十分になり、業務効率が悪くなってきています。
  • 顧客体験の一貫性の欠如
    各部門が異なる情報を基に対応すると、顧客に対する体験がバラバラになります。各部署で役割分担を行い、顧客満足度の高めるための同一目標を持つことが重要です。
  • 複雑な意思決定プロセス
    データが分散しているため、迅速かつ正確な意思決定が困難になります。

RevOpsは、これらの課題を解決する統合的なフレームワークとして、特にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代で注目されています。


RevOpsの主な目的

  1. 収益の最大化
    各部門の活動を統合し、効率的なプロセスと一貫した顧客対応を通じて収益を最大化します。
  2. 顧客体験の向上
    部門間で顧客データを共有し、シームレスでパーソナライズされた顧客体験を提供します。
  3. 業務効率の向上
    重複作業の削減やツールの統合により、オペレーションの効率を向上させます。
  4. データに基づく意思決定
    部門間のデータを統合することで、収益に直結する意思決定を迅速に行えます。

RevOpsの具体的な活動内容

  1. データ統合と分析
    • 顧客データ、営業データ、マーケティングデータを統一し、一元的に管理します
    • データを分析して、営業やマーケティング活動を最適化を行います
  2. プロセスの標準化
    • リードの生成から顧客育成、契約、アフターケアまでのプロセスを統一することで部門間での認識齟齬も生まれません
    • 各部門間の連携を円滑化することで、より迅速な意思決定が可能になります
  3. パフォーマンスの可視化
    • 各部門のパフォーマンスをKPIでモニタリングし、課題を早期発見することが可能になります
    • レポートを通じて改善策を提案することが容易になります
  4. ツールの活用
    • CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)ツール、カスタマーサクセスツールなどを導入し、業務を効率化し、今まで見えなかった課題や効果が可視化されます
  5. 収益予測と戦略立案
    • 過去のデータを基に売上予測を行い、収益性の高い戦略を設計します

RevOps導入の課題と対策

RevOpsという言葉は比較的新しいですが、上記の内容は今までDX化、業務効率化、などで言われていた内容ですので、実はさほど新しいことではないのです。

ではなぜDX化が進まないのか?

それには下記の様な人的要因が大きく占めています

  1. 部門間の抵抗
    各部門が独自のツールやプロセスに慣れているため、統合への抵抗がある。
    統合のプロジェクトを進めても既存の業務の延長として考えられているので抜本的な改革が起こらないことが多いです
  2. 初期コストの負担
    ツールの導入や既存プロセスの見直しにコストがかかる。そのコストに見合った効果を得られるかどうかが曖昧であるため、投資に踏み込めないというのが大きな要因です
  3. データの一元化の難しさ
    既存システムの互換性の問題や、データのクオリティが課題となることがあります
    エクセル管理をしている企業がシステム化するにあたりこのハードルは非常に高くまたかなりの工数がかかります

対策:

  • 各部門にRevOpsのメリットを具体的に説明し、透明性を持って進めること
  • ROI(投資対効果)を示し、経営層の理解を得ること
  • 適切なツール選定と段階的な導入計画を立てること

ITコーディネータ協会が出しているIT経営の考え方にもありますが、収益をあげるために企業が行うことで一番大事なのは、経営層の理解と目的の共有です。

システムを入れると業績が上がる、という物ではなく、なんのためにシステムを入れるかという意識が明確になればなるほど、社員の意識も変わり社内全体のDX化が動き出すのです。


RevOpsが向いている企業

  • 成長企業:営業やマーケティングのプロセスが急速に複雑化している企業。
  • SaaS企業:継続的な顧客との関係が収益の鍵となるビジネスモデルを持つ企業。
  • 中堅・中小企業:リソースが限られる中で効率化を目指す企業。

システムを入れるのに実は大企業だからとか中小だからという物はありません。

もちろんそれぞれのステージにより課題は変わり、また活用するシステムも変わります。
有名だから、よく聞くから、という理由だけで導入すると、機能が足りなかったり、使い切れなかったりします。企業のステージが今どこなのか、何を実現したいのか、というところを明確にすることが何よりも大事です。


まとめ

RevOpsは、収益関連部門を統合し、顧客体験の向上と収益の最大化を図る強力なフレームワークです。特に、デジタルトランスフォーメーションが進む現代においては、競争力を高めるために不可欠な戦略といえます。導入には一定のコストや課題が伴いますが、適切なプランニングと実践により、企業全体のパフォーマンスを劇的に向上させることが可能です。

トリストフロンティアはそういったお客様の目的達成のためにご支援させていただいております。

ぜひお気軽にお問い合わせください。